フリーターの方の中には、何となく正社員になったほうがいいのはわかるけど、なかなか一歩が踏み出せない、という方も多いと思います。
フリーターより正社員の方が、給料が高い、社会保険に加入できる、社会的信用がある、何かと安定している、スキルが身に付く…など。
正社員で働くと、何かとメリットが多そうですよね。

記事を書いている僕は26歳まで年収190万円のフリーターでした。その後、IT業界に転職して年収500万円になり人生が変わりました。現在は20代向けに転職や副業に役立つ情報を発信しています。
今回は僕の体験談をもとに、正社員になるべきか迷っているフリーターの方に向けて、「フリーターと正社員の違い5つ」を解説していきますので、ぜひご覧ください。
※『自分に向いてる仕事が知りたい!』という方は、以下の記事を読むほうが早いかもです。
この記事の目次
フリーターと正社員の違い5つとは?【元フリーターが解説します】
フリーターと正社員の違いは以下の5つです。フリーターと正社員の違い5つ
- 収入の違い
- 厚生年金か国民年金かの違い
- 休日・休暇の違い
- 社会的信用の違い
- 市場価値の上がりやすさの違い
フリーターと正社員には雇用形態のほかにも、様々な違いがありますね。
それぞれの違いを理解した上で、フリーターか正社員のどちらで働くべきかを考えてみてください。
まずはフリーターと正社員の定義について、それぞれみていきましょう。
フリーターとは?
フリーターという言葉には、「定職に就いていない人」、「フラフラしている人」などのイメージがありますよね。
フリーターのイメージは、人によってバラバラです。
フリーターの定義は、厚生労働省によって、次のように定められています。フリーターの定義
年齢:15歳~34歳まで
状態:現在就業中のアルバイトまたはパート雇用者。男性は継続就業年数1~5年未満、女性は未婚で仕事を主としている。現在無業の場合は家事や通学をしておらず、アルバイトやパートの仕事を希望している。
つまり、仕事を主とする15歳~34歳までの男女で、現在アルバイトやパート雇用されている人、または雇用を希望している人が、フリーターということです。
正社員とは?
正社員の定義には、法律で決められたものはありませんが、一般的には以下のように定められています。正社員の一般的な定義
- 労働契約の期間の定めがない
- 所定労働時間がフルタイムである
- 直接雇用されている
引用元:厚生労働省「多様な正社員とは?」
つまり、雇用期間を定めずに、フルタイム勤務で、雇用主と労働契約を結んだ労働者のことで、雇用保険や社会保険への加入が義務付けられるなど、非正規労働者よりも手厚い保護が受けられます。
そのほかにも正社員には、賞与や退職金があったり、福利厚生が利用できたり、という特徴があります。
フリーターと正社員の違い①:収入の違い
フリーターと正社員の違いの1つ目は「収入の違い」です。
厚生労働省が調査した「平成29年賃金構造基本統計調査 雇用形態別の賃金」によると、正社員と正社員以外の月収は以下のとおりです。20~24歳の収入の違い
- 正社員:20万9800円
- 正社員以外:18万3700円
25~29歳の収入の違い
- 正社員:24万4300円
- 正社員以外:19万9600円
30~34歳の収入の違い
- 正社員:28万1000円
- 正社員以外:21万600円
フリーターの方の中には、「自分は正社員と同等の仕事をしている!」「自分は正社員よりも会社に貢献している!」と思っている方もいると思います。
しかしフリーターとして、どれだけいい仕事をしても、正社員にならない限り、この収入格差は埋まらないのです。
フリーターが正社員より低収入な理由
なぜフリーターと正社員には、これだけ収入に違いがあるのか?
正社員には、定期的な昇給、役職や職能に応じた手当、賞与や残業手当など、給料が増える要因がたくさんあります。
特に年齢を重ねるほど、正社員とフリーターの収入の違いは大きくなっていきます。
正社員は社歴を重ねるごとに、スキルや経験が積み上げられ、人材の市場価値も高まっていくので、年齢を重ねるほど収入も上げやすくなります。
しかしフリーターの場合は、何年働いても市場価値は上がらず、ほぼ同じ時給でずっと働き続けることになります。
フリーターと正社員は年代が上がるごとに収入差が広がる
先ほど紹介した、年代別の正社員と正社員以外の収入差をみても、年代が上がるごとに収入差も広がっているのがわかります。正社員とフリーターの月収の差
- 20~24歳:2万6100円
- 25~29歳:4万4700円
- 30~34歳:7万400円
これを年収で計算すると、以下のようになります。正社員とフリーターの年収の差
- 20~24歳:31万3200円
- 25~29歳:53万6400円
- 30~34歳:84万4800円
厳密にいうと、正社員は月収のほかに、賞与や特別手当などが支給されるため、年収の差は上記よりも大きくなりますね。
正社員とフリーターの年収差には、100~200万円の差が開くこともあると思います。

ちなみに、「ユースフル労働統計 2017」の生涯賃金のデータによると、正社員とフリーターの生涯賃金には、約2億円の差があるということがわかっています。
具体的には大卒正社員の生涯賃金が約2億5千万円、アルバイトの生涯賃金が約6千万円となっています(22~60歳まで勤務した場合)。
お金だけが全てではありませんが、フリーターで働くか、正社員で働くかで、年収に大きな差が開くことは事実ですね。
フリーターと正社員の違い②:厚生年金に加入できるかの違い
フリーターと正社員の違いの2つ目は「厚生年金に加入できるかの違い」です。
フリーターでも正社員でも、日本の年金制度に応じて、国にお金を納めなければいけません。
年金制度には「国民年金」と「厚生年金保険」というものがあります。
まずは、国民年金と厚生年金保険の違いをみていきましょう。
国民年金とは?
国民年金とは「基礎年金」と呼ばれるもので、20歳以上60歳未満の国民全員の加入が義務付けられている年金です。
国民年金の保険料は定額であり、2020年度の国民年金保険料は「月額1万6540円」です。
国民年金の支給額は、保険料を納めた月数に応じて決まります。
2020年4月分からの国民年金の支給額は、以下の計算式で算出されます。
年金受給額(年間)=78万1700円×保険料納付済み月数÷480月
毎月欠かさずに保険料を納めている人は、2020年4月分以降の年金は「6万5141円」ということになります。
正社員もフリーターも国民年金に加入することになりますが、フリーターは国民年金にしか加入できないので、フリーターが65歳以降に国から受け取れる年金は最大で「月6万5141円」ということです。
※昭和36年4月2日以降の生まれの男性、昭和41年4月2日以降の生まれの女性からは、国民年金と厚生年金の受給開始年齢が「65歳」となります。(2020年11月24日時点)
厚生年金保険とは?
厚生年金保険とは、国民年金に上乗せして、給付される年金のことです。
つまり、厚生年金保険の対象者は、国民年金にプラスして、厚生年金保険も受給できるということです。
正社員は、厚生年金保険の受給の対象者です。
厚生年金の保険料は、毎年4月~6月に支払われる給与をベースに計算した金額と賞与に対して、共通の保険料率をかけて算出します。
正社員は、厚生年金の保険料を給料から自動的に控除されますが、金額の半分は雇用主である会社が負担してくれるので、会社員は実質的には半分の負担で済みます。
厚生年金(国民年金分を含む)の月々の平均受給額は、以下のとおりです。
- 全体:14万7000円
- 男性:16万6000円
- 女性:10万3000円
正社員は65歳以上になったときに、上記の年金を受け取ることができるので、フリーターよりも毎月約8万円多いことになります。
年間96万円なので、これはかなり大きいです。
しかも、正社員と会社で折半して、厚生年金保険を支払うわけですから、これは正社員のメリットですね。
フリーターと正社員の違い③:休日・休暇の違い
フリーターと正社員の違いの3つ目は「休日・休暇の違い」です。
フリーターは働く時間を選べるから休日が多い、正社員は土日祝しか休めないから休日が少ない、というイメージを持っている方も多いと思います。
しかし会社の規定によっては、会社員の方が休日・休暇が多くなることもあります。
会社の規定の中に、夏季休暇、年末年始休暇、慶弔休暇、リフレッシュ休暇、誕生日休暇などが定められていることも多いので、正社員は土日祝以外にも休める日が数多く存在します。たとえば、正社員なら休日出勤をすれば、振替休日や代休制度が利用できますが、フリーターにはそのような制度はありません。
フリーターは時給で働いているので、出勤しない限り、給料がもらえないのです。
フリーターは自分次第で休めますが、その分給料が減ってしまうので、生きていくために必要なお金を確保するためには、必要最低限の日数を出勤しなければいけません。
「休むと月給が減ってしまうフリーター」と「会社の規定内なら休んでも月給が減らない正社員」という見方をすると、正社員の方が良さそうですよね。
フリーターと正社員の違い④:社会的な信用度の違い
フリーターと正社員の違いの4つ目は「社会的な信用度の違い」です。
フリーターは社会的信用が低いため、車や家など高額な買い物をする際のローンの審査が通りにくいです。
さらに、クレジットカードなどの金融機関の審査も通らないため、利用できるものが限定され、あらゆる場面で選択肢が限定されます。
社会的な信用度の違いには、フリーターとして月収いくら稼いでいるかは関係なく、あくまでも正社員雇用かどうかが重要になります。
正社員の場合は、毎月固定の給料が支払われることと、法律で簡単に解雇されないという安定感によって、社会的な信用度が高くなります。
そのため、正社員は車や家のローンも、クレジットカードの審査も簡単に通ります。
また転職活動においても、前職がフリーターよりも正社員の方が印象が良いので、正社員には転職しやすいというメリットもあります。

フリーターと正社員の違い⑤:市場価値が上がるかどうかの違い
フリーターと正社員の違いの5つ目は「市場価値が上がるかどうかの違い」です。
フリーターの仕事で身に付くスキルは、いつもやっている仕事内容で活かせるものがほとんどです。
倉庫でのアルバイトなら、検品、梱包、出荷などの作業の精度が上がったり、スピードがはやくなったり、というくらいです。飲食店のアルバイトなら、注文をスムーズに取れるようになったり、簡単な料理を作れるようになったり、というくらいです。
アルバイトで身に付けたスキルは、ほかに応用できないものが多いので、アルバイトを何年続けても、人材としての市場価値は上がりません。
一方、正社員はアルバイトよりも、重要な仕事を任せてもらえるため、正社員経験を効果的に積むことで、市場価値の高いスキルや知識を身に付けることができます。
同じ倉庫の仕事でも、正社員ならアルバイトを管理する業務、取引先と価格交渉をする業務、他部署とスケジュール調整する業務などが任されます。飲食店の正社員なら、店長としてアルバイトをまとめる業務、店舗の仕入れから売上管理、店舗のイベントや販促企画などの業務が任されます。
会社の業務の中には、アルバイトには任せれないけど、正社員だから任せられる仕事がたくさんあるのです。
ですから同じ職場で、アルバイトとして5年勤務するのと、正社員として5年勤務するのとでは、5年後の市場価値に圧倒的な差が開きます。
フリーターと正社員の違い5つの違い【まとめ】
最後に「フリーターと正社員の違い5つの違い」をまとめておきます。
- 正社員はフリーターより収入が高くなる
- 正社員は厚生年金に加入できるけどフリーターは国民年金しか加入できない
- 正社員は特別休暇があるけどフリーターは休んだ分だけ給料が減る
- 正社員はフリーターよりも社会的信用がある
- 正社員はフリーターよりも市場価値が上がりやすい
フリーターと正社員の違いをみていくと、フリーターは正社員より不利になることが多いですね。
フリーターには時間の自由や仕事の責任がないというメリットもありますが、長期的な視点で人生を考えると、正社員で働く方がメリットは大きいです。
夢や目標を叶えるために、フリーターを続けている人はいいと思いますが、何となくフリーターを続けている人は、できるだけ早く正社員になるのがおすすめです。

お金も稼ぎやすいですし、スキルや経験も身に付きますし、社会的な信用もありますし、法律で守られていますし。
会社に雇用されて働くなら、正社員になった方がいいです。
アルバイト、派遣社員、契約社員などの雇用形態もありますが、どうせ会社に勤めるなら正社員を選ばないと、多くのメリットを享受できませんからね。
ただし、フリーターを続けるか、正社員に就職するかは、あなたの自由です。
